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2024/04/15 17:35

真冬の日本を抜け出して、太陽がサンサンと輝く南アメリカに来ています。

ソムリエという職業柄、1週間ぐらいは各国のワイナリー訪問のため、勉強に出かける事を良しとしてきましたが、チリ、アルゼンチンのブドウ畑を回るには最低でも2週間必要で、訪問するのにここまで時間が掛かってしまいました。

 

羽田から北アメリカのヒューストン経由でチリのサンチャゴに入りましたが、ヒューストンでのトランジットはなんと13時間。日本から移動するのに丸2日かかるのです。

 

実は今回は旅の前から随分緊張していました。

旅慣れたフランスやイタリアならなにも心配ないのですが、レンタカーで移動する為、交通事情はどうなのかが1番の気掛かりでした。高速道路は?車はどんな車種が?カーナビはどんなの?

 

そして、サンチャゴの空港でまず驚いたのは、税関の女性に「ワイナリー」の単語が通じなかった事。スペイン語でヴィーニャ・モンテスと言えば良かったのですが、その後の誘導係の人も、レンタカーの案内の人も英語が話せませんでした。

 

スペイン語しか話してこなかったから英語は苦手と、訪問した先の醸造家アシスタントが語っていましたが、スペインに征服された遠い昔の歴史を考えると当たり前なのでしょうね。それでも「オラ」と気さくに笑顔を皆さん下さるので、緊張は徐々に解けて行きました。

 

今回の1番の目的はチリワインの開拓者モンテスを訪問する事。

チリには他にもコンチャイトロとかラポストールとか有名な生産者がいるのに、なぜモンテスを開拓者と言うのか、現地を見て理由が分かりました。ワイナリーのあるラ・フィンカ・デ・アパルタのブドウ畑を見回すと、高い丘の斜面から平地にかけてブドウ樹が植えられています。

アパルタは豊かな太陽の光に恵まれているので、ドイツやフランスのシャブリのように斜面に植えて光をより得ようとする必要はないのですが、

モンテスはブドウによりストレスを与えて凝縮された果汁を得るために、チリではこれまでだれも行わなかった、丘の斜面にブドウ樹を植えたのです。

 

 

もうすぐモンテス

 

丘の斜面に畑を開墾するために、取り除いた花崗岩の丸石は大型トラック700台分、数百キロメートルの灌漑パイプを施設した結果、平地の畑と比べると40%もコストは高く付いたのです。しかしその畑から素晴らしいワインが生まれ、チリワインの可能性を世界に知らしめました。

 

そしてさらに、モンテスのアイコンワインにタイタというメチャクチャ美味しいワインがあります。

生産量に限界があり、現在在庫切れではありますが、このワインは 地質学者とチリの可能性ある土地を探し、海岸山脈から落ちてくる氷河から

数千年前に先頭部分に形成された、氷堆石の土壌を見つけました。

 

その花崗岩と粘土質の土壌にカベルネ・ソーヴィニヨンが素晴らしくフィットして、心までとろけるワインが生まれたのです。

ワイン名のタイタは父親や知恵のある年長者に敬意を示す言葉。

 


一番右がタイタです

 

今となっては、イギリスで行われるワインのコンペティションで世界のワインを抑えてトップに輝くヴィーニャ・モンテス。

しかし創業時は大変な苦労をしました。4人の男性が、それぞれブドウ栽培、醸造、営業、金融の担当に分かれ、他に本業を持ちながら

苦しい資金繰りを長らく続け、新しい畑を開拓する時には資金調達の為にその都度資本家を募り、乗り越えてきました。

 

モンテスの創設者4人

 

旅に出る前の事、輸入元の人と共に私のワインバーサミュゼにモンテスのアジア担当者エドアルドがやってきました。彼は創業者の営業を担当していたダグラス・ムライの後継者なのでしょう。

世界100ヵ国を回り、モンテスのワインと顧客を繋いでいるのです。

 

 

 

なぜ、このワインがおいしいのか、ワインのバックグランドを知ると理由が分かります。

明日からアルゼンチンの畑に移動して、お勧めワインの美味しい理由を確認してまいります。

 

モンテスのシンボルの天使

 

島幸子

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