2022/02/06 19:15
ワインやチーズを召し上がる皆様方には関税の話は興味があるお話かと思います。
2019年2月、日欧EPA(経済連携協定)が発効され、EU諸国との貿易の関税が引き下げ又は撤廃されました。これは私たちにとってどのような影響があるのでしょうか。
フランス研修の時の風景
ワインはこれまで1本あたり93円(スパークリングワインは136円)の関税がかかっていましたが完全に0円になりました。これは高いワインでも安いワインでも同じなので、高いワインは安くなったとはあまり実感できないですね。2007年にEPAを結んでいたチリワインが安旨な印象でしたが、これからはヨーロッパの低価格帯ワインとの価格競争になりそうです。某小売店もこれを受け、欧州産ワインを最大1割引きするなどシェア拡大を目指すようですが消費者としては嬉しい限りです。
フランス・ボルドーの老舗ワインショップ
チーズは国内のチーズ生産者保護のため一般的なチーズに29.8%の関税がかかっていましたが、年間で輸入できる量を決め段階的に関税が撤廃され、16年目には完全に撤廃される予定です。お店で30%OFFのチーズが買える日はまだ先のことですね。日本と早めにEPAを結んだスイスは削って炙ってトロトロとしたチーズを食べる「ラクレット」が大ヒット中です。日本では1964年の東京オリンピックを機にフランスチーズの空輸が始まり、今やEUチーズ輸入量は全体の約30%です。関税が撤廃されればチーズが益々身近に感じられそうです。
フランス・ディジョンのチーズショップ
少しチーズのお話です・・・
フランスでは古くから当たり前のようにワインとチーズがありました。
アン・ヴィラージュ・アン・フロマージュ(un village un fromage)、直訳すると「一つの村に一つのチーズ」というくらい沢山のチーズがあります。自分たちが食べるために造っていたので商品名という概念がなく、それぞれ村や乳種の名前が付けられていました。例えばカマンベールはノルマンディー地方のカマンベール村のチーズです。
もう一つ、フランスでは「シェーヴルに始まり、シェーヴルで終わる」という言葉があります。(シェーヴルとはフランス語で山羊乳チーズのこと。)山羊乳の脂肪球は牛や羊などより小さいので消化吸収に優れています。なので赤ちゃんの離乳食や高齢者の食事にも適した食材と言えます。独特の風味があるため苦手な方も多いと思います。サミュゼでフランス研修に行った時、あるシャンパンメゾンでの食事に山羊のチーズが出てきました。そこに添えられていたのはバター。不思議なことに一緒に食べることで特有の臭みがなくなり、山羊のきめ細かい組織とバターのクリーミーさが相まって美味しく頂けました。その他の美味しい食べ合わせとしてナッツ入りのパンやドライフルーツ、はちみつやジャム、胡椒やオリーブオイルと合わせても味わいが広がります。
シェーヴルとバター
今月はシェーヴルチーズとワインのマリアージュもお試し頂きたいと思い、同じ地方のワインをご用意しました。
ソムリエール 安部絵美香
今月のおすすめワイン
ヴァランセ・ブラン ル・クロ・ドローム
ドメーヌ マンシャン
ソーヴィニョン・ブラン100%
柑橘系果実の完熟した香りとクリアで柔らかな味わい。きらきらと光るようなミネラルと心地よいホロ苦さも感じられます。ヴァランセとはフランスロワールの地域の名前です。フランスでは唯一チーズとワイン両方で、AOC(産地の個性を守るための法的な規制の「原産地統制呼称制度」)を名乗れるアペラシオンです。
今月のおすすめチーズ
ヴァランセ
山羊乳(無殺菌乳)
先端が切り取られたピラミッド型をしたチーズ。木炭粉がまぶしてあります。なぜ先端が切り取られたかというと、エジプト遠征で敗れたナポレオンがピラミッドを思わせるヴァランセを見て気分を害し、上を切れと命じたという説があります。しっとりとした純白の組織。爽やかな酸味とほっくりとした食感が特徴的です。
ソムリエール 安部絵美香